ヒビの入った盆栽鉢を補修しました。
補修方法は確立したものではなく、実用に耐える手法を試行錯誤中です。
記録も兼ねて、ご紹介したいと思います。
今回の対象はこちらの中渡りの長方鉢です。

完全な割れではなく、ヒビが入り、その箇所で段差ができてしまっています。
また、鉢の隅が欠けてしまっています。
せっかく雰囲気の良い鉢なので、金継ぎを施して補修することにしました。
まずは洗浄です。
水洗いしてざっと汚れを落とした上で、市販の酸素系漂白剤をお湯に溶かして、鉢を浸して一晩放置してから水で洗い流します。
これでしつこい着色汚れなどが落とせます。
続いてエポキシパテでヒビを埋める作業です。
今回の場合、ヒビの溝がある上に、段差が生じてしまっているので、段差が斜めに埋まるようにパテを乗せていきます。
また、鉢の隅に欠けがあるのでそれもパテで成形していきます。
なお、パテ埋めが不十分だと、下の失敗例のように割れ目に金粉が乗らず、金継ぎした後も跡が残ってしまいます。

パテが固まったら、盛り上がりすぎた箇所はデザインナイフなどで削り落とします。
また、耐水性の紙やすりを濡らしてパテ部分を全体的に研磨します。
(ここで、ヒビの周辺の無傷な部分もヤスリで磨いてしまい、余計な擦れ痕を作ってしまいました…)

次は実際に金継ぎ段階です。
金箔を使用した金継ぎセットを持っていたので、今回はそれに入っている接着剤を使用しました。
接着剤をナイロンの筆でパテの上に塗布していきます。
極細のものが使いやすいと思います。
接着剤を塗ったら、金継ぎ用の絹の真綿で金粉を塗布します。
今回は金粉には今井金箔の金消粉の五毛色(コマカ)を使用してみました。
落ち着いた色味が盆栽鉢に合うかなと考えたためです。
https://www.kinpaku-imai.jp/SHOP/1601.html
金継ぎができたら、その上にカシューを塗布しました。
通常の食器などの用途であれば金粉を乗せて終わりですが、
盆栽鉢の場合はよりハードな環境で使用されるので、
物理的な保護目的で、今回は金粉の上をカシュー塗料(色はネオクリヤー)で封止してみました。
カシューは漆と同じくウルシ科のカシューナッツから取れるもので、
漆に近い特性を持ち、耐水性があり屋外利用が可能です。
漆と異なり安価で扱いやすく、透明度が高いので採用しました。
カシューは紫外線による影響で数年経つと黄変していくと考えられますので、
カシュー薄め液で希釈してごくわずかな量を薄塗りしました。
表側はこのような仕上がりになりました。


最後に内側の補強です。
通常の盆栽鉢の補強では温度変化による膨張や根っこの内圧、物理的な刺激に耐えるために金属製のかすがいが利用されます。
しかし、かすがいの加工が困難なことやそこまで大きな鉢ではないことから、ガラスファイバーで補強してみることにしました。
飛行機模型などの補強に使用されるガラス製の布です。
https://featherfield.co.jp/frp/N11000.html
ひび割れが進行しないように、ヒビに沿って薄手のガラスファイバーをエポキシで貼り付けて完成です。
https://www.monotaro.com/g/08015130

数年実用してみて耐久性を確認したいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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